尿酸値を下げる 薬物療法

尿酸値を下げる 薬物療法

尿酸値を下げる 薬物療法 について紹介します。高尿酸血症には「尿酸排せつ泄低下型」と「尿酸産生過剰型」の2つのタイプに分かれます。尿酸値が上がる原因が違うのですから、使用する薬も当然ながら違ってきます。

尿酸値を下げる 薬物療法 尿酸値上昇のタイプ別に2種類の薬を使い分ける

いま、「オーダーメイド医療」の必要性が叫ばれています。画一的な治療をマニュアル的に行うのではなく、患者の病状はもちろん、体質や体力などあらゆる面を考慮に入れた治療を理想とする考え方です。

現代の医療は、どんな病気の場合でも、基本的にこの考え方に沿って行われています。そのため、同じ病気でも治療法がまったく同じとは限りませんし、薬が異なる場合もあります。あくまで個々の患者の状態に合わせて治療は進められるわけです。

痛風・高尿酸血症の治療もまったく同じで、医師は患者の病状、尿酸値の推移、過去の発作の回数、合併症の有無などを詳しく調べてから治療計画を立てます。

尿酸値を下げる薬(尿酸降下薬)を選ぶときもこの考え方が大切になります。高尿酸血症には「尿酸排せつ泄低下型」と「尿酸産生過剰型」の2つのタイプに分かれます。尿酸値が上がる原因が違うのですから、使用する薬も当然ながら違ってきます。
医師は患者のタイプによって2種類の薬を使い分け、尿酸排泄低下型の場合は尿酸排泄促進薬、尿酸産生過剰型には尿酸生成抑制薬を処方します。

排泄促進薬は腎臓に作用し尿酸の排泄量を増やす

もし薬の処方が画一的に行われ、たとえば尿酸排泄低下型の患者に尿酸生成抑制薬を使用すると、肝臓に障害が起こるなど、副作用の起きる確率が高まる危険性があります。

逆に尿酸産生過剰型の患者に尿酸排泄促進薬を服用させれば、尿中の尿酸濃度が高くなり、腎臓内や尿管に結石ができたり、急性の腎不全などを引き起こす恐れが増大します。

痛風・高尿酸血症を治療するといつても、とりあえず尿酸値を下げる薬を処方しさえすればいいというものではありません。患者さんのタイプに応じたものでない薬の処方がされれば、何の効果も得られないばかりか、副作用によって新たな障害が引き起こされることも考えられます。

尿酸排泄促進薬は尿酸の排泄が十分に行われず、尿酸値が上昇してしまうタイプの人が服用すると効果を発揮する薬です。効能としては、腎臓に作用して尿酸の排泄量を増やすように働き、尿酸の排泄を促してくれます。日本ではプロベネシド、ベンズブロマロンの2種類の薬が主に使われており、ほかにブコロームという薬もあります。

生成抑制薬は酵素の働きを抑え、尿酸の産生量を減少させる

尿酸生成抑制薬は尿酸の産生が多すぎて尿酸値が上昇してしまうタイプに適した薬です。尿酸が肝臓で合成されるとき、キサンチンオキシターゼという酵素が働きますが、この酵素の働きを阻害して、尿酸の産生を妨げてくれます。尿酸生成抑制薬にはアロプリノールという薬が1種類あるだけで、副作用もほとんどないことが確認されています。

薬物療法の目標は尿酸値4.0~6.0mg/dl

薬物療法では尿酸値を 4 ~6 mg/dl まで下げることが目標になります。尿酸値の正常値は7mg/dl以下ですが、より安全な範囲にコントロールしようというわけです。

特にすでに痛風発作を起こした人は、尿酸値 を6.0 mg/dl 以下にまで下げておいたほうが、関節部の尿酸も溶けやすくなるため、再発を防ぐ確率が高くなりまとはいっても、尿酸値が急激に下がりすぎるのも問題なので、その場合は薬の量を減らして調節します。
尿酸値が思うように下がらない場合は、逆に薬を増量することになります。薬物療法を始めても、尿酸値を定期的にチェックし、適正範囲内にコントロールしていくことが大切です。

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発作時 薬 激痛をやわらげる薬物療法

発作時 薬

発作時 薬 激痛をやわらげる薬物療法について紹介します。痛風発作の沈静化に使われる薬は、主に非ステロイド系抗炎症鎮痛薬です。ナプロキセン、インドメタシン、フェンブフフェンなどいくつかの種類があり、患部の痛みや腫れ、熟などの症状を取り除き、炎症を改善する優れた効果を発揮します。

発作時 薬 沈静化する治療は本格的な痛風治療ではない

痛風・高尿酸血症の治療では、尿酸値を正常範囲内にコントロールすることと、高尿酸血症による合併症を防ぐことが最大の目標になります。

しかし、いきなり痛風発作を起こしてしまい、まさに今「風が吹いても痛い」状態でいる人に対して、尿酸値を下げる長期的な治療の必要性を力説しても無益な説教というものでしょう。

痛風発作を起こした場合は、何はまさておき、痛みや腫れを取り除く緊急の治療が必要になります。これは痛風発作を沈静化するための対症療法で、痛風・高尿酸血症を治す根本的な治療ではありません。
一時的に緊急避難をして、落ち着いてから本格的な治療を始めようというわけです。

非ステロイド系抗炎鎮痛薬で発作時の痛みを腫れを改善

痛風発作の沈静化に使われる薬は、主に非ステロイド系抗炎症鎮痛薬です。ナプロキセン、インドメタシン、フェンブフフェンなどいくつかの種類があり、患部の痛みや腫れ、熟などの症状を取り除き、炎症を改善する優れた効果を発揮します。

病状に応じて座薬を使う場合もあります。非ステロイド系抗炎症鎮痛薬は副作用が少ないという特徴もありますかいようが、まれに胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを引き起こしたり、極めてまれな例では大出血や胃穿孔を起こしたりするということも報告されています。

したがって、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人には使用しないのが原則です。胃潰瘍などがなくても、ほかの病気で血液を固まりにくくする薬などを使用している場合も注意が必要です。

ステロイド薬もよく使われる、コルヒチンは発作後では効果なしし

胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある場合は副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬が使われます。以前は痛風発作の治療に副腎皮質ホルモン薬を使うことはタブーとされていましたが、最近では危険の少ない薬という認識が広まり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がない場合でも使用する医師が多くなっています。

痛風発作を沈静化するために広く使われていた薬に、コルヒチンがあります。古くから痛風の特効薬とされてきた薬で、ユリ科のイヌサフランという植物の種子や球根の成分を抽出してつくられます。
痛風発作の痛みは尿酸結晶を白血球が攻撃することで起こりますがコルヒチンにはその攻撃を抑えて弱める作用があります。

その結果、痛みや炎症を改善することができます。ただし、コルヒチンは白血球の働きを抑えるため、免疫力まで低下させてしまい、腹痛などの胃腸障害や下痢、毛髪の脱毛などを起こしたりする副作用があります。

さらに、コルヒチンは痛風発作を起こしてからあわてて服用しても効果はありません。こうしたことから最近はコルヒチンを使用する頻度は少なくなっています。

コルヒチンは予感期に飲むと効果がある

コルヒチンは痛風発作を抑える薬としてはほんど使われなくなっていますが、発作を起こす前にのむと、発作を防いだり、軽くしたりする効果があります。

痛風発作を何度か経験した人は、発作が起きる前に「そろそろ危ないな」という予感があます。これを「予感期」といいますが、この時期に飲んでおくと発作の予防効果が期待できます。

そのためため、痛風発作を起こしたことのある患者さんには積極的に処方するケースも見られます。だし、コルヒチンは本文で説明したとおり、白血球の働きを抑えて免疫力を低下させるなどの副作用がありますから、1日1錠にとどめるのが原則です。

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薬物療法 開始時期 どの段階ではじめるのがベストか

薬物療法 開始時期

薬物療法 開始時期 どの段階ではじめるのがベストでしょうか。まず、いきなり痛風発作を起こしてしまい、痛みに耐えられない場合は、開始のタイミングなど計っている余裕はないでしょう。尿酸値がいくつになったら薬物療法を開始しなければいけないのでしょうか?

薬物療法 開始時期 痛風発作を起こしたら即刻だが、まずは生活改善療法から始める

痛風・高尿酸血症の薬物療法は、どのタイミングで開始すればいいのでしょうか。まず、いきなり痛風発作を起こしてしまい、痛みに耐えられない場合は、開始のタイミングなど計っている余裕はないでしょう。

病院に駆け込み、すぐに治療開始となります。この場合はこういった薬物療法が行われるはずです。、

患部の痛みや炎症を抑えます。問題になるのは健康診断で尿酸値が高いという結果が出たときです。健診後に担当の医師から「要注意」などの診断があったら、なるべく早めに専門医に相談するようにしましょう。専門の医師が必要と認めたら、治療を開始することになります。その場合も、いきなり薬物療法を始めるのではなく、症状をみながら、まずは食事を中心にした生活改善療法を行うのが一般的です。そのうえで、病状や尿酸値の動向などを詳しく調べ、必要なら薬物療法が始められます。薬物療法を始めるかどうかの大きな目安になるのが、尿酸値です。

痛風発作は尿酸値が上昇することで起こるのですから、もっともな話でしょう。では、尿酸値がいくつになったら薬物療法を開始しなければいけないのでしょうか?

痛風発作の経験があれば早めに、なければ生活改善が最優先

実は、薬物療法の開始は尿酸値のレベルだけでは決められません。通常、尿酸値が7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます。

しかし、高尿酸血症になったからといって、ただちに薬物療法を始めるわけではありません。ここでポイントになるのが、一度でも痛風発作を経験しているかどうかです。

痛風発作を経験しているということは、体内に尿酸塩の結晶が蓄積していることを示します。その状態で、なおかつ尿酸値が高いまま放置しておくと、痛風発作をくり返す危険性が非常に高くなります。

そのような場合で、なおかつ生活改善を続けても尿酸値が7.0mg/dl以下に下がらないようであれば、薬物療法を開始するのが一般的です。

これに対し痛風発作を経験していない場合は、尿酸値が7.0mg/dlを超えていても、普通はすぐには薬物療法を行わず、生活改善療法だけで経過を観察することになります。その結果、尿酸値が8.0mg/dl以上の状態が続き、しかも高血圧や高脂血症、動脈硬化、糖尿病などの合併症、さらには尿路結石などがみられるようなら、薬物療法に踏み切ります。

こうした合併症がない場合は生活改善療法だけにとどめる場合もあります。尿酸値が9.0mg/dlを超える場合は、発作の有無に関わらず、すぐに薬物療法を開始するのが普通です。
これらは実際の診療で行われている治療の目安の一例です。患者の病状や医師の判断などにより、必ずしもこのとおりではありません。ひとつの参考にしてください。

痛風発作の改善=治療の終了ではない

痛風発作がはじめてで病気に関する知識がない人の場合は、痛みがおさまれば病気も治ったものと考えがちです。実際、高尿酸血症が痛風発作の原因で、そのために治療は継続しなければならないことを説明しても、「痛風発作の改善=治療の終了」と勝手に解釈して、以後の生活改善療法や薬物療法を中断してしまう人が少なからず見受けられます。

これでは近い将来、まず間違いなく痛風発作を再発してしまいますし、尿酸値の高い状態を続けていることで、合併症の危険性も高まります。発作の治療と、痛風・高尿酸血症の治療は別物であることをしっかり認識し、尿酸値の経過をみながら、必要な処置を続けることが重要です。

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